2006-01-01から1年間の記事一覧

江戸川乱歩『押絵と旅する男』

風邪の日に、乱歩は良くないだろう。『鏡地獄』とか。BGMはジョージ・ハリスンの「ブルー・ジェイ・ウェイ」

か、風邪ひいた・・・

アルマ・コーガンさんのハスキーな歌声

先日亡くなった宮川泰さんの手による、お洒落なボサノバ・アレンジが印象的な中尾ミエさん他の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」だが、イギリスのプレ・ビートルズ時代の歌手・アルマ・コーガンの同曲は上からなぞったような、まったく同じアレンジで、C…

骨相学

きたろう 坪内祐三なんとなく、思想や嗜好性も似ているような気がする。

『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

R.シュトラウスの管弦楽にもなり、かのニジンスキーもバレエで演じた、いたづら者の物語。本日の「タイトル」は、ひとえにこの本のせいです。ちなみに、VOL.1が「金玉時計」、VOL.2が斎藤綾子先生の回の「オナニー」です。なぜ君たちは「オナニー…

斎藤綾子『欠陥住宅物語』のつづき

(あらましを書いているので注意のこと)

雨上がり

俄雨が通り過ぎても、海岸の向こうに見える島影は靄がかっている。低い雲間から天啓のような光が浜辺に射しこみ、雨上がりに華やいだ人々は祈りの姿勢で天を振り仰ぐ。眼前の携帯電話を雨乞い儀式の祭具じみた手つきで戴いて。こうして奇跡は歴史に記録され…

「前に書いた」ことのまとめになってしまいました・・・

個人的オーネット・コールマンBEST5

1位「ボディ・メタ」:ロック形式のバンド「プライム・タイム」と。前に記した1曲目「Voice Poetry」だけでなく、ワルツの「European Echo」など、黒人音楽のスタイルをモチーフにした時の非黒人音楽性、西洋音楽的モチーフに於ける濃厚な黒人音楽性に唯一…

つづき

宮沢賢治の童話は叙情性豊かな物語として多くのファンを持っている。画家のますむらひろし等により再三映像化されているのをみれば、その「叙情性」の一端は了解されよう。また天沢退二郎や入沢康夫などの詩人・批評家の全集編纂によってか、「宮沢賢治枠」…

別役実「イーハトーボゆき軽便鉄道」

別役実はこねくり回すヒトだ。素材として挙げられた事柄について、一般的了解や常識を用いずに考察を進めていく。フレンチの魚料理の素材を使い、たまたま上着のポケットにあったカッター・ナイフで一品、独自の料理に仕上げる面持ち。テーブルに着いたお客…

「こねくり回しの好きな料理長」

芥川龍之介の出生について

芥川龍之介は明治25年(1892)三月朔日(ついたち)東京市京橋区入船町(現・中央区明石町)に、父新原敏三、母フクの長男として生まれたが、父42歳母33歳の大厄の子であったため、捨て子扱いとして敏三旧友の松村浅二郎が拾い親となり、後フクの…

小谷野敦『恋愛の昭和史』

『恋愛の昭和史』は、とても面白くてためになるのですが、前日のアイ高野さん逝去の話を書きながら、ちょっと思うことができた。 × × これは、日本の小説に書きあらわされた恋愛を、昭和*1というスパンで俯瞰し、現代の<恋愛至上主義>なるものに批判を下し…

合掌、アイ高野

<カーナビーツ>ほか、<ゴールデン・カップス><クリエイション>のドラマー、ボーカルだったアイ高野が亡くなった。「ジェニー!!!」 カーナビーツの一曲 <カーナビーツ>といえば「好きさ、好きさ、好きさ」「恋をしようよジェニー」が定番です。ボ…

3月はオーネットの月

3月末にオーネット・コールマン(アルト・サックスほか)が来日していた。年齢的に、たぶんこれが最後の来日となるだろう(1930年生の76歳)。 オーネットの足跡は偉大にして、孤立無援。その影響は多大で、たとえば前に名前を挙げた灰野敬二、彼の最…

Swing Like ”Voice Poetry”

『暴走機関車』[読書]『高校二年の四月に』

TV東京で午後、『暴走機関車』を放送していたので、予約録画しておいた。 この映画は、黒沢明原作ということで巷間知られていますが、個人的には脚本に作家のポール・ジンデルが絡んでいるのが気になっていた。 日本では、ポール・ジンデルはけっして高名…

「随筆」と「ブログ」に言わずもがなの言及

「前見出し」のようなものを書いて、このてのハナシで更新していけば、江戸時代にやたら出版された「随筆」のようになりそう。ホント、江戸時代は有名人・無名人にかかわらず、やたら随筆が著され、関心のない人にはどうでもいい豆知識本が流布していた。随筆…

サンカ隠語「オタカラシュウ」について

高島俊男『お言葉ですが・・・②「文芸春秋」の怪』<たくらだ猫の隣歩き>は、「たくらだ(名詞)」についての俗説を糾したもの。広辞苑にも引用された、<麝香猫(じゃこうねこ、これも創作動物か?)によく似た、田蔵田という猫科の生き物が語源云々、とい…

「遍歴楽師」音松劉円

二、三日風のつよい日が続いていたのが、今朝になってようやく凪いだ。 外套を着ると、徒歩でも汗ばむ。夕刻の冷え込みを考え、それより衣替えの支度が億劫なので、海岸電車を使って出かけることにした。カタコトと停車した車両に入り、毛羽立った緑色の座席…

これは本当にあった話です「私は嘘が嫌いだ」

今日はお午過ぎに散歩に出かけました。ぽかぽかした陽気の中、路地のあちこちでは新築の工事の音がのんびりと鳴り響いています。人のいない角を折れ曲がったところで、突然ウグイス色の作業服を着てヘルメットを被った男の後姿が横ざまに現れ、私を先行する…

「如何なる星の下に」

この、高見順の小説を豊田四郎が映画化した1962年発表の作品を、夕食のお相伴に観返してみる。 このあいだTVで放送した市川崑監督の‘61年作「黒い十人の女」と、2人キャストがかぶっていて、それが、五社協定事件で翌‘63年引退を余儀なくされる山…

昨日のTBSラジオ「アクセス」

宮崎哲弥氏の担当日で、テーマは「かの人」*1の死刑に是々非々云々。 それはまぁどうでもいいのですが(よくないか・・・)、先日「ドキュメンタリーは嘘をつく」で話題にした森達也氏がゲスト出演していた。大勢は「死刑」肯定に傾いているなか、一般聴取者…

金玉時計

「福神」7号(2001)8頁、小沢信男の発言 金玉の上下で時間がわかる男が鳥取のなんとか村にいる。上がりきって腹中に収まるときが、ぴったり午後。だらりと下がりきったときが、夜中の十二時 直接の出典は梅原北明『近世社会大驚全史』、そのまたモトネ…

読書のBGMベスト

は流さない。のですが、たまに耳がさみしいと感ずるときもあるので、そういうときはしばし悩む。 ふつう聴く音楽は軽音楽―なんて死語か―・・・ロックとかポップスなのですが、こういった大衆音楽?は騒々しいゆえ、読書に集中する妨げになることおびただしい…

『尾崎翠集成(上)』−贋作「杉粉嬢」

さて、宵闇がようやく訪れ、南風の湿った空気辺りを包む頃、黄色っぽいぼやけた灯りに誘導された小さな虫のように、私たちの主人公は幾日ぶりかの外出を始めた。天上にはまさに暮れかからんとする蒼紺の薄明かりのなか、銀色が風に瞬く星がふたつ、置き忘れ…

『だまされることの責任』佐高信&魚住昭 120〜124頁要約

あるいは<「自己責任論」の萌芽> 魚住 僕はジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』(岩波書店)を読んでいて一番印象に残ったのは、孤児の話なんです。戦後、戦災孤児が街にいっぱいあふれていた。ところが日本人は彼らをろくに救おうとはしない。ほったら…

枯れ木も花のにぎわい

とってつけたように、友人の絵を飾り、地味な部屋に華を添える。 drawn by Arammon

花輪和一先生の描く、平安朝ものに登場する女性

ではない。長谷寺近くの御霊神社にある、面掛行列というお祭に使う面のひとつ。コロポックル[完全版] (KCデラックス)作者: 花輪和一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/07/23メディア: コミック購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (19件) を見る…