読書

『昭和の子供だ俺たちは』

タイトルを一人称に代えると俄然押し付けがましくなった印象 以下は古くさいぞ私の音楽の趣味は。 - 唐沢俊一検証blogでコメントしたもののより詳細な話です いちおう「第一次オタク世代」=第一次オタクが所属する世代全般、「オタク第一世代」=オタクの中…

if you're missing yourself〜「あんまりステキじゃない唐沢俊一」を見失いたくもなる本

あのルイ・フィリップ。今はまったく話題に上がらないが。村崎百郎はどういった経緯で根本敬から唐沢俊一にシフトしたのだろうか?いや、じっさいホントにシフトしたってワケではないだろうから、正確には「どういった経緯で唐沢俊一とコンビを組むようにな…

植草甚一と唐沢俊一(1)

(1)前段 唐沢俊一検証blog 2009-09-24「ガゼビア工場の秘密」 2009-09-24 - 唐沢俊一検証blog藤岡真さんのコメント(1)09-25 07:19 唐沢俊一は大いなる勘違いをしているのでしょうね。自分の立場、もっと言ってしまえば「分際」というものを全く勘違い…

萩原健一『ショーケン』

ショーケンはファンがスゴイからなぁ・・・(たいへん素晴らしいことではあります) (http://ameblo.jp/showken-fun/)とか。 「ショーケン、好きかぁ?」と訊ねられれば、30mくらい離れてちょいとコブシを上げ「お、おー・・・!」と同調したいところで…

江戸川乱歩『押絵と旅する男』

風邪の日に、乱歩は良くないだろう。『鏡地獄』とか。BGMはジョージ・ハリスンの「ブルー・ジェイ・ウェイ」

『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』

R.シュトラウスの管弦楽にもなり、かのニジンスキーもバレエで演じた、いたづら者の物語。本日の「タイトル」は、ひとえにこの本のせいです。ちなみに、VOL.1が「金玉時計」、VOL.2が斎藤綾子先生の回の「オナニー」です。なぜ君たちは「オナニー…

斎藤綾子『欠陥住宅物語』のつづき

(あらましを書いているので注意のこと)

別役実「イーハトーボゆき軽便鉄道」

別役実はこねくり回すヒトだ。素材として挙げられた事柄について、一般的了解や常識を用いずに考察を進めていく。フレンチの魚料理の素材を使い、たまたま上着のポケットにあったカッター・ナイフで一品、独自の料理に仕上げる面持ち。テーブルに着いたお客…

芥川龍之介の出生について

芥川龍之介は明治25年(1892)三月朔日(ついたち)東京市京橋区入船町(現・中央区明石町)に、父新原敏三、母フクの長男として生まれたが、父42歳母33歳の大厄の子であったため、捨て子扱いとして敏三旧友の松村浅二郎が拾い親となり、後フクの…

小谷野敦『恋愛の昭和史』

『恋愛の昭和史』は、とても面白くてためになるのですが、前日のアイ高野さん逝去の話を書きながら、ちょっと思うことができた。 × × これは、日本の小説に書きあらわされた恋愛を、昭和*1というスパンで俯瞰し、現代の<恋愛至上主義>なるものに批判を下し…

サンカ隠語「オタカラシュウ」について

高島俊男『お言葉ですが・・・②「文芸春秋」の怪』<たくらだ猫の隣歩き>は、「たくらだ(名詞)」についての俗説を糾したもの。広辞苑にも引用された、<麝香猫(じゃこうねこ、これも創作動物か?)によく似た、田蔵田という猫科の生き物が語源云々、とい…

「遍歴楽師」音松劉円

二、三日風のつよい日が続いていたのが、今朝になってようやく凪いだ。 外套を着ると、徒歩でも汗ばむ。夕刻の冷え込みを考え、それより衣替えの支度が億劫なので、海岸電車を使って出かけることにした。カタコトと停車した車両に入り、毛羽立った緑色の座席…

これは本当にあった話です「私は嘘が嫌いだ」

今日はお午過ぎに散歩に出かけました。ぽかぽかした陽気の中、路地のあちこちでは新築の工事の音がのんびりと鳴り響いています。人のいない角を折れ曲がったところで、突然ウグイス色の作業服を着てヘルメットを被った男の後姿が横ざまに現れ、私を先行する…

金玉時計

「福神」7号(2001)8頁、小沢信男の発言 金玉の上下で時間がわかる男が鳥取のなんとか村にいる。上がりきって腹中に収まるときが、ぴったり午後。だらりと下がりきったときが、夜中の十二時 直接の出典は梅原北明『近世社会大驚全史』、そのまたモトネ…

『尾崎翠集成(上)』−贋作「杉粉嬢」

さて、宵闇がようやく訪れ、南風の湿った空気辺りを包む頃、黄色っぽいぼやけた灯りに誘導された小さな虫のように、私たちの主人公は幾日ぶりかの外出を始めた。天上にはまさに暮れかからんとする蒼紺の薄明かりのなか、銀色が風に瞬く星がふたつ、置き忘れ…

『だまされることの責任』佐高信&魚住昭 120〜124頁要約

あるいは<「自己責任論」の萌芽> 魚住 僕はジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』(岩波書店)を読んでいて一番印象に残ったのは、孤児の話なんです。戦後、戦災孤児が街にいっぱいあふれていた。ところが日本人は彼らをろくに救おうとはしない。ほったら…

斎藤綾子「欠陥住宅物語」をひっぱり出してみた。

本日、いわゆる「ヒューザー物件」GS××××の前を通り過ぎたとき、この本のことを思い出す。 前に3分の2まで読んで、放っておいたままいつの間にか2年が過ぎた。やあ、斎藤さん、久しぶりです。美奈子さんのほうはよく見かけるのですが、ご無沙汰しちゃい…

「ドキュメンタリーは嘘をつく」(タイトルに若干偽りあり?)

「ドキュメンタリー作家たちは嘘をつく」といった塩梅。 朝っぱらか見るのはキツイような気がしたので、録画して午後鑑賞。 「あざとい」とか「分かり易過ぎる」みたいな意見があるみたいです。しかし困ったことには、たとえば今、NHK総合の「にんげんドキ…

正津勉「脱力の人」

さまざまな、正津氏いうところの脱力系詩人について。脱力とは、つまりはダウナーというほどの意味で、最後に漫画家つげ義春を取り上げているが、一般的にはつげ義春以外みな無名だろう?というくらい、詩の世界はマイナー・ワールドだ。その中で唯一知って…

若き日の八切止夫

伊藤整『古い日のこと』のなかに、若き日の八切止夫―サンカ研究家にして歴史妄想家―が登場する。 昭和10年(1935)前後、日大藝術科の夜間部で創作実習を教えていたころの話。 いつも教壇のまん前の席に陣取って、毎時間30枚ほどの自作の小説を読み上げ…