金玉時計

「福神」7号(2001)8頁、小沢信男の発言

金玉の上下で時間がわかる男が鳥取のなんとか村にいる。上がりきって腹中に収まるときが、ぴったり午後。だらりと下がりきったときが、夜中の十二時

直接の出典は梅原北明『近世社会大驚全史』、そのまたモトネタは「朝野新聞」明治十五年七月十六日刊所載<魔法の睾丸時計>。


よく似た記述が三田村鳶魚の<物貰いの話>(『江戸読本』一巻三号、1938)にある。

戸塚の大金玉、これは金玉が非常に大きいので有名であった。(中略)この初代が元禄年間に居ったといふことで、その次のやつが明和、安永の頃になる。その金玉は米の二、三斗も入れる袋位とありますが、面白いことには、朝から午後の四時頃までは大きいけれど、夕刻になると腹に揉込んで半分くらいの大きさにして帰ってゆく。ごく朝早くは人の通りも少ないので、さう大きくないが、丁度人の余計通る時分には、評判の大金玉になる。この先生が二代目で、一九*1の「膝栗毛」の中にも書いてありますが、あれは三代目であろうと思ひます。
礫川全次「サンカと説教強盗」資料編より引用。旧字は新字にあらためました)

久生十蘭の短編小説「玉取物語」では、お殿様の持ち物となっているが、上記の話を種としたと思われます。

福神 (第7号)

福神 (第7号)

サンカと説教強盗―闇と漂泊の民俗史

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久生十蘭全集 2

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どうやら「定本久生十蘭全集」11巻刊行というプロジェクトが進行中。

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