正津勉「脱力の人」

さまざまな、正津氏いうところの脱力系詩人について。脱力とは、つまりはダウナーというほどの意味で、最後に漫画家つげ義春を取り上げているが、一般的にはつげ義春以外みな無名だろう?というくらい、詩の世界はマイナー・ワールドだ。その中で唯一知っていたのが、尾形亀之助。かつてかなり影響を受けてしまい、いろいろな意味で、今はなるべく距離を置きたい詩人です。


脱力の人

脱力の人


尾形亀之助は、かつてはふつうに詩集がでていたのですが、今は青空文庫http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person874.html#sakuhin_list_1がいちばん手ごろか・・・しかし、第一詩集「色ガラスの町」第二詩集「雨になる朝」の2本で、愛着のある第三詩集「障子のある家」がない・・・いや、無くていいか?万が一無いとは思うけれど、尾形亀之助再評価なんて機運があったりしたら、それはそれで問題なのでは?
なんたって、
働かざるもの食うべからず、という人に、それはこういうことかと餓死してみせる云々、
てな、言ってはいけない一節があちこちちりばめられ、実生活もその詩と一緒に反社会性まっしぐら、元祖ニートというのか、しかしだからこそ一般的なニートという文脈とは程遠い詩人で、まあ、普通そんな面倒くさいことは考えないわけで、煎じ詰めて生活破綻者ですな。
宮沢賢治オツベルと象」は、彼が主宰していた詩の雑誌が初出だという(原稿は見つからず、雑誌よりの不鮮明な活字起こしで、オッペル・オツベルの諸説が生まれた)豆知識もあります。

尾形亀之助全集

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