<唐沢俊一検証blog>『ハナの首飾り。』その後(2)

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/
ここの2009-06-03のエントリ『ハナの首飾り。』をベースにした拾遺録(2)。
http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20090603/1244026835

只今のBGM:『ハナ肇クレイジー・キャッツ全曲集 Compiled By Eiichi Ohtaki』(参考http://chiba.cool.ne.jp/ryugasaki_udo/casset.html)。CD『クレイジー・キャッツ・デラックス』(同じ大瀧詠一の選曲)のカセット・テープ版でどちらも1986年リリースだが、収録は微妙にちがう。)3月にクレイジーの『実年行進曲』が発売され、これの編曲も大瀧が手がけており編曲・選曲・解説と八面六臂の大活躍。長年のクレイジー・ファン大瀧としては4年前の金沢明子「イエロー・サブマリン音頭」で萩原哲晶と組んで以来やっと本丸に手が届いた、そんな年でした。
〔と調べていたら、萩原哲晶忌野清志郎井上大輔などと同じ58歳で亡くなってるのか・・・。若いときは気にもとめなかったけれど、みんな亡くなるの早いなあ。facesの「Ooh La La」な気分・・・・・・・。いや、こんなイントロで感慨に耽っていても先に進めない。〕

Ooh La La/Ronnie Lane's Slim Chance at the BBC 1974
ロニー・レインはロッド・スチュワートと違って成功に背を向けた酔っ払いで、「フェイセス」脱退後、文字通りのトラベリング・バンド「スリム・チャンス」を結成し幼稚な夢みたいなことを追い求め破綻し病魔に犯され人生を棒に振ったわけだが、I wish that I knew what I know now/When I was younger./I wish that I knew what I know now/When I was stronger、ウー・ラ・ラ、萩原哲晶にウー・ラ・ラ、忌野清志郎にウー・ラ・ラ、井上大輔にウー・ラ・ラ、いや、こんなものを聴いて感傷にくれていてはいけない。ちなみにジャンキー期のクラプトンもロニーの生き方に憧れて一時「スリム・チャンス」に参加していたらしい。(どっぷりはまってるじゃん、日曜の夕暮れに)

横道をもう一本ずれると、ジャックスの「からっぽの世界」が<差別用語>がネックになって1989年まで復刻できなかったという話があったのだが。――そして通販系オムニバス・アルバム等では、じつは80年代中頃まで復刻されていたというウラ話もあるのだが――、「無責任一代男」5番目の歌詞はスルーされてるわけで、<差別用語><放送禁止歌>というものがきわめて恣意的なものなんだなあ、とBGMの話でここまで延ばすのもどうかなあ、と思う次第。


閑話休題
1986年は植木等が『新・喜びも悲しみも幾歳月』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞取った年ですね。だからこの年は確実にクレイジーリバイバル・ブームだったわけだ。
唐沢俊一ソルボンヌK子『昭和ニッポン怪人伝』(135頁)

 その前年の『クレージー黄金作戦』では、のちにやはりクレージーの牙城をおびやかす存在となるザ・ドリフターズが登場しているが、時代と寝た者は、時代が変わるとともにその花も枯れていくということなのだろう。植木等に次にスポットライトが当たるのは、1980年代後半から、60年代回顧のブームが起こり、リバイバルシングル『スーダラ伝説』がオリコンのベスト10入りするまで待たねばならない。

大瀧は『大滝詠一のゴー!ゴー!ナイアガラ 日本ポップス史』(自由国民社1984年7月1日)で既に萩原哲晶を大プッシュしてクレイジーの音楽的な重要性を喧伝している。そう考えると1982〜86年はサブカル的にいえば「潜在的に」クレイジー・ブームだったわけで、事務所的だかスケジュール的だかで『実年行進曲』リリースが1986年となったとするのが正確なのではないか。まだ見落としてる資料もあるだろうが。
そんなことよりも重要なのは、唐沢の説明だとクレイジー→ドリフの一本線だけどそれはちがうだろう。その間にいろいろ入るものはあって、思い入れによってそこに入る名前は違うだろうけれど、コント55号という巨星はぜったいに外せないだろう。このコンビの名前が抜け落ちた段階で唐沢の文章は致命的な欠陥を持ってしまった。
唐沢俊一の年だと、リアルタイムでクレイジーの黄金期(60年代初頭まで)は体験しておらず、無理に背伸びしてクレイジーの話なんかしなけりゃよかったのだろう。60年代後半の「シャボン玉ホリデー」(布施明がいる舞台に軍人植木が乱入し「伏せ〜!」とか)が好きだったのなら、趣味はさまざまあってよいのだけれど、コント55号人気に背を向けてたりしたら、それはちょっとセンスが無いんじゃないかな?

からっぽの世界ータクト・デイズー

からっぽの世界ータクト・デイズー

ウー・ラ・ラ

ウー・ラ・ラ

個人的には俳優植木等は『如何なる星の下に』大屋五郎役が大推薦。
http://d.hatena.ne.jp/discussao/20060331