「世界征服」とかけて岡田斗司夫と橋本治と解く、そのココロは
tenntekeさんによると2010-10-16 - 唐沢俊一検証blog
あと岡田さんは「「世界征服」は可能か?」(2007年)で、
「もう階級なんてない、あるのは階層だ」って書いている
ということなので、いま岡田斗司夫サンの『「世界制服」は可能か?』を読んでいる。
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 新書
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自力で上記のように要約してみたが、アマゾン等の解説・ブックレビューも似たようなまとめ方をしてるので、岡田サンへの評価はいろいろありましょうが、本の解説としては穏当なんではないでしょうか*1。
この本はデータ*2を具体的に記してあり、<「世界征服」の四つの目的>や<支配者の四つのタイプ>を『仮面ライダー』『北斗の拳』『ドラゴンボール』『バビル2世』『レインボーマン』などのエピソードから割り出している。こうした、<アニメや特撮といった幼稚な「マンガ」の世界>のデータを洗い直し、非社会的な存在のオタクの文脈が社会学的見地に変貌するという展開がたいへん魅力的で、小飼 弾の高評価もそういった理由からと思われる404 Blog Not Found:書評 - 「世界征服」は可能か?。この視点は、オタキングexとして活動している現在に繋がるものであり、岡田サンとすればおそらく『スタートレック』惑星連合に近いものを志向しているのではないかと思われる。
スピッツエナジー(もしくはアスレティコ・スピッツ’80)の『カーク船長はどこに?』。かつてはモノクローム・セットと抱き合わせで邦盤も発売されたこともあった。よく聴くとDEVOの『jocko homo』に酷似している部分があるが、とても好きだった。
私はオタクではないので<アニメや特撮といった「マンガ」の世界>のデータについて正誤は点けられない。だから「ふうん」と頷いて読み進めるばかりだけれど、岡田サンのこういったアプローチの仕方に橋本治のことを思い出してしまった。例えば、あまり若者が半ズボンを穿くことの少なかった80年代中期に半ズボン着用を提言し、当時の思潮の中にあった問題点に到る『革命的半ズボン主義宣言』などが、批評のスタンスとしては『「世界征服」は可能か?』にとてもよく似ている。いちおうことわっておくけれど、これは岡田さんが橋本をパクっているとかいう卑近なことではない。だいたい岡田サンは何度か橋本治にインスパイアされた旨発言しているしね。ただ、以下の記述を岡田サンが参考としなかったかどうかは微妙なところで、もちろん参考にして非難されるものではないけれど、この本のオリジナリティに少し傷がつくのは否めないと思う。*3
『橋本治雑文集成 パンセ(6) 自分たちよ!』<いつか世界を征服する日まで>
(引用者注:原稿を書くことをぬかすと、何も考えずフワフワして「悪いことばっかり考えた」たりしているとの橋本自身の説明、具体的に「世界征服」を考えているとの発言を受け)
― で、世界征服して何するのお?
橋本 征服して?タラタラしてるの。めんどくさい本とか書くとさ、評論家は何も言わないけど。どこかで誰かがわかんないことブツブツいってるなと感じるようなことがあるわけさ。ああイヤだって思うわけ。それを黙らせるにはどうすればいいかというと、天上人になってしまって、コミュニケーションなしにしてしまえば聞こえてこない。そーなると地球は丸いから、その丸いところを全部覆わなきゃダメだな、それには世界征服だ。世界征服しておいて、上から降りてきて、まぎれ込んでしまえばわからない。
― あんみつ姫だね(笑)。
橋本 ちがう!あんみつ姫はローマの休日でしょ。たとえて近いなら、老子です。別に老子になりたいわけじゃないけど!!それこそ、女って女に満足しちゃえば、適当にタラタラやっていられるけれど、男は男に満足して適当にやってると文句をいわれるかわいそうな生き物だからさ、それなら文句をいわせないで身を粉にして、世界征服のために働き続けるのが一番正しいだよお。ただ、むかしの男だと、文句を言わせないために世界征服するんじゃなくて、世界中に文句をいうために世界征服しようとしてたから、その辺はちがうんだけどね。
(インタビュー=まついなつき)
それで何回かに分けて『「世界征服」は可能か?』で遊んでみようかなと思います。私はこの本を「つまんない」とも「薄い」とも思わないけれど*4、やはり「オタク」な分野から外れた部位についてはちょっとどうかと思う記述が目立ち、これを岡田サン流エンターテイメントとして楽しむ悠長さは保てない。ここはひとつ岡田サンの胸を借りて勉強するつもりで『「世界征服」は可能か?』の悪口を書かせていただこう。
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